じいちゃんとワンコと…日々の生活

子供達が独立して、ワンコとの気楽な生活になるはずだった。母が亡くなって、末っ子なのにじいちゃんをひきとることになり、まだまだ忙しい日々が続きます。

入院

父はずっとワンマン社長でやってきた人。ガンコで、ヒトの言うことは滅多に聞かない。


例えば…入れ歯。歯科医が言うには(と言うのは、私は入れ歯を使ってはいないので、当然、保存方法もわからない)、入れ歯というものは水に浸けておかなければ変形するのだそうだ。ところが父は、乾かしている。多分最初に入れ歯を作った時になんらかのスリコミがあったのかもしれない。消毒のつもりか、時にはベランダに出して日光にあてている。当然、変形する。「あの歯医者は下手だ」とこうなる。


それから文字を書く欄。欄内におさまるように書くものを、わざとずらして書く。人が読んで判断する時には「まぁいいでしょう」となるが、機械で判断される場合には無効。現役の時からそうだった。父の現役時代には今ほどコンピューターが溢れていなかったからよかったけど…。


現役時代のクルマはベンツだったのだが、キズはつけなかったものの、電気系統でなんども修理。パワーウィンドーの自己流開け閉めが原因。


そんな人だからちょっとハズれたことをしていても、またやってる、しょうがないなぁ、としか思わなかった。だいたい服の着方からしてよく理解してない人だった。スーツならいつもきちんとしていられるのに、普段着に関しては全く無知。現役時代は朝起きてから夜寝るまでずっとスーツで、普段着など着るチャンスさえなかったのだから仕方ないと言えば仕方ないのだが…。信じられないだろうが、私も姉も、父の普段着姿を知らない。タンスの中にはポロシャツがあったが、ただあっただけだ。こちらに来てから、朝父に薬を持って行った時に、服装をチェックするのが日課だった。「これ、そういう風に着るんじゃないよ。」と手直し。それが毎日だから、1年も経つとこちらもいい加減イライラしてくる。


そろそろ寒くなってきた頃、パジャマの上に下着のシャツを着ていたり、セーターを中に着ていたりしたことがあった。その時おかしいなと思えばよかったのに、またやってくれましたなぁと思ってしまった。姉に話したが、姉も私同様、前からそういう人だよね程度にしか思わなかった。


時々ボケたことを言っても、なんか勘違いしてる?としか思わなかった。


認知って、少しずつ進行するでしょ?だから、またなに寝ぼけてんのよ、って思っちゃう。


夕方父がトーストを食べていたことがあったけど、その時も「いっぱい運動してお昼寝したから夕方と朝を間違えたんだね」なんて、いい方に解釈しちゃった。父も、「朝かと思ったけど、なーんだ、夕方かぁ」と素直に認めたから、まさか認知の始まりとは思いもしなかった。


とにかくワンマンな人だから、何度言っても我が道を行く。我が道を行ってたんじゃなくて、私が言ったことを忘れちゃってたんだね。


ごめんね、じいちゃん。


正月の3日間一緒にいておかしいと思ったので、姉にも来てもらい、病院に連れて行くことにした。と言っても、父に「おかしいから」とは言えない。以前から「頭がモヤモヤする」と言っていたので、モヤモヤの専門医に行くということにした。


ラッキーなことにかかりつけの先生が同じ病院の専門医を紹介してくれた。実に良い先生。患者の回りくどい話にじっと耳を傾けてくれた。


即、入院。普通なら一週間、点滴で薬を入れるところを二週間続けた。多発性脳梗塞による脳血管の詰まってしまったところは改善されたが、脳の白化してしまった部分は治りようがない。


退院したら、私が仕事に出た後が心配。担当医と話し合って、治療病棟から療養病棟に移った。昼間の仕事ならヘルパーさんを頼んで自宅介護という手があるけど、夜間のサービスは望めないから仕方ない。夕飯の後で睡眠薬を飲ませるわけにもいかないもの。それに、姉が主張しているのは「昼間父の介護して夜も見張ってたら、あんたは一体いつ寝るの。一週間とか1ヶ月の話じゃないんだよ。自分の身体を第一に考えなさい。仕事だってできないでしょ。」


私の身体を心配してくれるのはありがたいっちゃ、ありがたいけど…。じいちゃんに寂しい思いだけはさせたくないから、療養病棟に移ってからも毎日病院に顔を出している。


じいちゃんはしっかりしている日もあれば、ダメダメな日もある。隣のベッドの人が昔ウチの実家で働いていた人だとか、用事があるから田舎に行かなければいけないとか。ふらつきがあって1人で歩いちゃいけないのに、トイレに行こうとして倒れちゃったり。


今日はけっこうしっかりしていた。一緒にお見舞いに行ってくれた相方に「わざわざ遠いところありがとう」なんて、言ってくれた。全然遠くないけどね。


今、じいちゃんを預かってくれる施設を探している。まず第一に、我が家から近いところ。私が毎日行けないところじゃ話にならない。ちゃんと設備が整っているところ。そして入所しているおじいちゃんおばあちゃんが明るい顔をしているところ。ちゃんと見守りして欲しいけど、できることは自分でやらせて欲しい。自分でやってみようという気持ちがなくなっちゃったらダメだもの。

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